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活動報告

2024年3月陳情への討論原稿|武蔵野市議会レポート

こんにちは、武蔵野市議会議員の本多夏帆です。今回の定例会で審議された陳情につき、会派ワクワクはたらくとして討論したものの原稿を掲載します。 「女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める意見書」提出に関する陳情 ワクワクはたらくを代表し、採択の立場で討論します。条約の理念に賛同するものであり、国内でのあらゆる救済措置がかなわなかった場合に通報をするしくみ自体があることは、反対するものではないと考えました。一方で懸念されている、国内における混乱や不当な扱いを受けるといった勧告等の処分については、この選択議定書にかかわらずすでに問題視される事象が発生しているとのことです。 コロナ禍のときもそうでしたが、各国の価値観というものは否定されるものではなく、勧告等を受けて考え、そしてそのうえでどうするのかというのは自国に委ねられているものと思います。そこで真剣に議論がなされ、はねのけるものははねのけるということもあり得ると思います。コロナ禍でそうした場面を多く見たことは記憶に新しいのではないでしょうか。 なんであってもそうですが、鵜呑みにするのではなく、熟議熟慮、そうやって人間社会の理想を追い求めていくものと考えます。以上、賛成討論とします。 子どもを性犯罪、性暴力の加害者、被害者、傍観者にさせないために市内教育機関において「生命の安全教育」及び発達の段階や子どもの実態に応じた包括的性教育を充実させることに関する陳情 ワクワクはたらくを代表し、不採択の立場で討論します。なお、今回の陳情のきっかけとなった小学校での盗撮事案については、個別具体的なことになるため本日は触れませんが、市内ではこの件に留まらずさまざまな問題が発生していることは現実であると思います、原因の分析、協議、対話、対策の実行、情報公開そして市内のこどもたちや保護者等に向けたメッセージの出し方については、より一層のご尽力をお願いいたします。 そのうえで今回の陳情については相当悩みました。というのも、過去の陳情を調べても、学校教育の内容について議会が進言するという例がありませんでした。そもそも議会にそうした権限があるのかという問いかけです。 これまで武蔵野市議会であった教育関連の陳情は、教科書採択について国に対する意見書を出すものや、給食実施のための予算措置についてなどでした。確かに今回のものも教育の充実をというもので予算措置的な訴えと読むこともできるかもしれませんが、そこにおいてさらに大きな課題となったのは学習指導要領という法規範性のあるものの範囲内と言えない教育内容について、地方議会がどこまで、そしてどのように物申すことができるのかという点です。 私自身は人権教育、性教育のより一層の充実について賛同していますし、こどもたちの世代がこの情報社会、グローバル社会を生きていく中で、現在の学習指導要領や教育内容をブラッシュアップしていく必要性は強く感じています。 一方で、義務教育の課程のベースとなる学習指導要領は国において一律に定められるものであり、そのうえで学校での教育内容を決める権限は校長にあります。当然、学校ごとに独自性を持たせることはできると考えられますが、その範囲はどこまでなのか。議会は何に基づいて進言すればよいのか、相当に悩んだということです。 公教育とは何か、そうした問いと向き合わなくてはなりません。自分自身が今このテーマに、内容に賛成できるからそれでいいというのは、地方議会の権能としてどうか。この判断が前例になるということを考える必要があると思います。 定められた教育内容に対して、あれをやれ、あるいはこれをやるな、そうしたことが今後もこの場で行われていくというのでいいのでしょうか。それこそ教育は安定的な運用が求められるものであり、時の政治が混乱をきたさないようにすることも必要だと考えます。 教育基本法第16条には「教育は,不当な支配に服することなく,この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり,教育行政は,国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下,公正かつ適正に行われなければならない。」と規定されています。「不当な支配」とは、教育の自主性、自律性を侵害するあらゆる支配を意味し、その趣旨に従って、教育現場・内容への過度の介入は許されないという制約が生まれるとのことです。 このことは、かの七尾養護学校事件において議論されたことです。地方自治における教育の権限はどこまでか、議論する場はどこなのか、私たちも学び、よく整理をしなくてはならないと思います。 無論、市民からの陳情はとても重いものです。今回の会派の判断において、だったら市民はどこに助けを求めればいいのかとお𠮟りもいただきました。ただ今回、陳情者による陳述や質疑等を通して、書面から読み取れない部分含め、市に陳情の趣旨は伝わったと考えており、私たちもこれで終わりにするのではなく、今後さまざまな機会を捉えて、目的が達成されるよう重ねて働きかけをしていく所存です。 議会の権限などという、どこを向いて仕事をしているのかというご意見も受け止めてはおりますが、私たちとしては今後、自分が賛成しかねる内容の教育がこの場で議論された際にも、自分たちの立場が変わっても、議会が言うならば権限の濫用といったようなことが起こらないよう考え努めることも、役目のひとつと考えて今回の決断をいたしました。 こどもたちへの教育の充実はきっと誰もが望むものです。それはこどもたち自身の幸せであり、こどもたちの未来にも繋がる大切な取り組みです。自身も子育てに直面する者として、こどもが加害者・被害者・傍観者にならないための行動をしていきたいと思いますし、これは私たち自身、大人にも言えることです。より一層の教育の充実に向け、社会全体での議論へ、繋げていきたいと思います。以上です。 隠し事のない市政実現のために、市報の公報機能の強化に関する陳情 市報とはなんなのかという議論になりましたが、他自治体でのアンケート等を読んでいても、市報に求めるものはかなり幅広いことがわかります。私たち議会の市議会だよりを検討するにあたっても、結果をということもあればプロセスをというのもあり、何が求められるのか非常に難しいものだと感じております。 優先順位を固定することなく、広報の専門員を入れると予算案も出ているのでよく議論してほしいと考えます。 「燃料費等物価高騰に対する市内中小事業者を救済するための助成制度の創設」を求める陳情 本件については討論はしていませんが、対象の絞り込みが難しいと考え不採択の立場を取りました。