
教育長の辞職について[前編]|武蔵野市議会レポート
こんにちは、武蔵野市議会議員の本多夏帆です。機を逸した感はありますが、ようやく筆をとりました。本件につきご存じない方も多数いらっしゃると思いますので、情報をまとめたいと思います。 任命から辞職までの経緯 2024年3月に議会が任命に同意し、4月から着任していた教育長が辞職されました。 概要についてはいくつか記事が出ています。すでに見られなくなっているものもあったので、現時点で見られた下記をシェアします。 ・東京新聞はこちら・朝日新聞はこちら 記事にあるように、過去所属していた組織からハラスメントに関する処分を受けていたが、そのことを市は知りながら議会に説明することなく、教育長として任命する同意を得たということです。 このような「人事案件」において、例えば教育長や副市長といった重要な役について任命する際は、武蔵野市議会の慣例で市長が議会の各会派に説明に回り、その後議会で正式に同意をするという流れをとってきました。 今回も同様に、3月の議会に向けて事前に市長が各会派を回り、教育長の任命について説明、その後3月26日、定例会最終日に任命の同意の議案が提出され、その場で可決されたという経緯でした。 実際にはこの事前の説明のあとにハラスメントによる処分が発覚し、しかし議会まで間がないこと含めさまざまな理由から説明をしなかったというのが、後の質疑にてわかっています(詳しくは後編にて)。 そして任命がされたあと、4月から教育長が着任し、業務にあたる中で、市長にも議会にもさまざまなところから本件について問合せがあり、市長と議会とでの会議が持たれることに。 そこで事実関係の整理、なぜこのようなことになったのかという質疑が行われる中、さてどうなるかと思っていた矢先に教育長から辞職の申し入れあり。 辞職について公式に明るみになったのは、5月1日に開かれた教育委員会の臨時会が突如開催され、その結果がホームページに掲載されたことでした。 令和6年武蔵野市教育委員会開催予定及び結果|武蔵野市公式ホームページ (musashino.lg.jp) ここからSNSでも情報が拡散され、議員もそれぞれに発信が始まり、さまざまな主張もあって背景情報が取りにくくなっていたかと思います。私自身もこの時間軸の中で、不確定なことや個人情報も多いことから発信には慎重になっていました。 同時期に起きていたもうひとつの問題 そしてこの時、話をややこしくしていたのがもう1件別の教育委員会案件、教科書(指導書)購入の決裁で議決を取り忘れたという事案が同時に動いていたというのがあります。 前提として武蔵野市では、物品購入において2,000万円を超える場合に議決を必要とするというきまりがあります。 今回、4年に一度の教科書購入において過去2,000万円を超えたことがないという実績から簡易的な手続きフローを踏んでしまい、最後の会計課のチェックまでこのことが発覚しなかったという事件でした(支払い直前で気づけたのは良かったですが)。 すでに物品の納入もあり、あとは支払いのみということでこのことが発覚し、支払期限である5月15日の前に議決をということで、大急ぎで5月9日に臨時会がひらかれることになりました。 議決を飛ばした場合、後からそれを認めるということで、法律にはない「追認」という議決を行うことになります。裁判例を基にしたもので、調べてみると結構な自治体で行われているようでした… この手続きについてもバタバタと議会側で対応する中、教育長の話まで出てきてしまい、結局のところ追認のためにひらかれる臨時会にさらに追加で「市長・副市長の給与減額」の議案が提出されました。 これで教科書購入のことだけでなく、教育長の任命責任についてまで、この臨時会で議論することが決まりました。 長くなったのでここで区切りまして、後編の記事では臨時会での質疑や私見について書いていきます。