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こんにちは、武蔵野市議会議員の本多夏帆です。一気に寒くなりましたのでどうぞご自愛ください。

さて、吉祥寺東部のまちづくりについて、先週市が説明会を開きました。具体的に土地の売買や駐輪場の再編成などを行うにあたっての説明会です。

当初、このような会の予定はありませんでしたが、5月の議会への説明以降、SNSなどでも話題にのぼり、市も説明の必要性が生じたとし、急遽行われたものです。

私はこの2年半議員をしていますが、こうした説明会が事業途中で急に設定され、また当日市長・副市長が参加となったことも、初めてのことでした。想定を超えておおごとになったという印象を受けます。

会から数日が経ち、おおよその経緯についてはさまざまなところに出ているので、今回は皆さまに一緒に考えていただくべく、主にプロセスにおいての私の考えを記します。

これまでの流れ

簡単に流れを説明しておきます。前提として今回の市の事業は、吉祥寺ヨドバシ裏のエリアにおけるまちづくりの一環として、土地を売買したり、駐輪場を再編成したりするというものです。

こうしたまちづくりの方向性については、これまでに市の長期計画や都市計画マスタープラン、吉祥寺グランドデザイン、NEXT吉祥寺といった各種計画において議論され、大きな方向が示されてきました。

それを具体的に進めようと出てきたのが、今年5月の建設委員会で示された「対応方針」。この方針に基づいて関係者と協議を行っていくという内容で、行政報告という形で議員へ共有がされました。

計画においてまちづくりの大きな方向性がすでにあったことから、特にこの委員会において紛糾するようなことはなく、いろいろな意見は出ましたがまだこれから協議が行われていくものとしてその時は終わりました。

その後、あれよあれよと言う間に土地の売買の話が実行段階に移り、また駐輪場が廃止されたことで、地域の方々より要望書、そして陳情が出されました。それを受けて今回の説明会に至っています。

何が問題だったか

私が考える問題点はいくつかあります。

①議会での意見がないがしろにされていること

上述したように議会への最初のアプローチは建設委員会での行政報告でした。今回の事案は予算や条例制定といった議会での議決を要する事項にあてはまらないため、行政からの報告として情報共有されました。つまり、議員が多数決で決定するものではなく、議員に知らせるといったものになります。

そもそも議決事項になぜあてはまらないのかという考えもあると思いますが、この部分を変える、すなわち「議会で決めることを増やす」というのは二元代表制においておおごとです。また、法的な縛りある論点でもあるので、ここは学びを継続するとし、今回は割愛します。


そのうえで、私は先日の説明会において聞き捨てならない言葉がありました。議会への説明はどうなっているんだという質問に対し、行政側は「議会での反対はなかった」と一言答えたのです。

私は当時建設委員会の委員だったので、自分自身がこの報告を受け、質疑をした人間です。6月からは新しい任期になるため今は厚生委員会所属ですが、以降この件がテーマになる度にやり取りをチェックしてきました。

5月の委員会においては、この事業の話が出てきた際に私自身は内容を確認し、これからの協議と市民への説明を丁寧に行うことを市に要望しています。

私の質疑を議事録からまとめたものは参考として記事の一番下に掲載しておきますが、そもそも行政報告は賛否を問うものではないこと、それに対し「反対はなかった」というのは前提がずれています。

また、事業を進めるうえで議員から多数の意見が出されているにもかかわらず、そのことを伝えず一言で回答したことに私はショックを覚えました。

議員ももっと市民へ説明責任を果たしていかなければ、このような一言の説明でまとめられてしまうこともあるのだと強く実感しました。

行政報告というのものの位置づけや役割について、私たち議員がもっと踏み込んでいくことも今後大切なことです。しかし、そこで出た意見をないがしろにすることは許されません。

②地元だけでなく市民全体への説明が重視されなかったこと

次に市民への説明です。

市内にはそれぞれそのエリアで活動している団体や協議会などが存在します。定期的に行政と意見交換をしていたり、行政側が説明したりといった、調整が行われています。

今回も地域で活動する方々を中心に陳情が出ていますが、団体とのやり取りは以前からあり、今回の件も事前に説明してきたということは行政側も言っています。

とはいえそのタイミングが適していたか、内容が充足しているかといったこと、さらには言った言わないなどの事実関係の精査についてはここではできませんので、そこは陳情審査にお願いするとします。


そこで私は、市民全体への説明、ここがすっぽりと視点として抜けていたことにより、今回の混乱が広がったと考えています。

まず当該エリアの関係者とも言える方々とはコンタクトを取っていた、がしかしその団体に属していない方は?住民とはいえすべての方が団体に属しているわけではありません。さらには吉祥寺という、市民の多くが関心あるエリアです。

SNS上での議論が巻き起こったのも、この件が選挙で争点として扱われたり、週刊誌に取り上げられたりしたことが大きいと感じます。突然出てきた話題のようになってしまい、説明責任を果たしていないと言われてしまうでしょう。

説明を求められて説明会を開いたのは良かったと思うのですが、そうした説明の機会を広く市民向けに事前に設けていたらどうだったのか、ここまで大きなことにならなかったのではないかと感じています。


また特に今回、多くの市民が利用する駐輪場が急に廃止されたという印象となってしまったことも、不信感に繋がったと感じています。

こうした駐輪場の再編については以前から「駐輪場は外周部へ」という考え方がベースとしてあり、そのことを知っていれば根拠の存在がある程度は理解できます(廃止のタイミングについては利用者からすれば当然意見があると思います)。

ベースはどこにあったのかというと、上述した長期計画や吉祥寺グランドデザインといった各種計画です。そもそもこうした計画の示す方向性に対しNO!と考えるのであれば方針の大転換が必要で、それこそ民意で首長を変えるといった事象が起きないと変えることは難しいと思います。

途中から議論に参加することが難しいというのがこうした計画的な行政のデメリットですが、思い付きで事業を行うわけではないというメリットもあります。要はバランスですが、こうした方向性を市民に周知していくことで、不信を防ぐことにも繋がります。

私含め議会もともにですが、まちづくりについて広報していく取り組みがもっと拡充されていかなくてはなりません。

選挙戦では相手を陥れるような発言をする時間があるなら、こうした政策、方向性をしっかりと周知するチャンスと捉えていかないとと強く思いました。怒涛の選挙年だったので、これがひとつの感想でもあります。

③この対応を次に繋げるという意識が薄いこと

最後に、今回の説明会を次に繋げようという考えが感じられなかったことをとても残念に思っています。

この夏からの議論の紛糾を見て、職員の方々とは何度もやり取りをしてきました。例えばオープンハウス型のイベント(展示会場のような形でいつ来ても説明を受け職員とコミュニケーションが取れる手法)をしたらどうか、まちづくりの経緯が分かるような広報をしたらどうかなど何度も提案しました。しかしそれは叶いませんでした。

何かしらの会を開くということ自体にもし私の要望が影響しているなら、ひとつは叶ったのかもしれませんが。開くにしても対立構造にならないやり方を模索し伝えてきました。


私は今回のような市政への不信を増幅させるような事案を、できるだけ防ぎたいと考えています。それが「分断」になるからです。議論するのはいいのですが、議論すらしなくなってしまう、市政から離れてしまう。それは将来のまちのためにはまったくならないと思います。

だからこそ今回、多くの要望をしたのです。事業は交渉事として進む、それはとめられないかもしれない。それでも市政は続く、市民はそこに住み続けるのだから、なんとか関係性を修復したい。次に繋げたい。

そう思っていれば対立的な会の構造、そして最後まで話を聞かないで打ち切るといったやり方にはならないと思うのです(実際そうなってしまいました)。

事業には賛成も反対もさまざまな意見が出るのは当然です。それでも皆そこで生きていくのだから、意見をきちんと聞くということはやって欲しかった。

政争だから仕方ないという見方もあるでしょう。それでも、そうしたこととは関係なく今回の事業に関心を持ち、実際に自分の生活に影響が出るという方もいるはずです。事業を行う側が、政争の具にされたとしてスルーしてはいけないと思います。

今後について

この件については、次の動きとして11月8日の建設委員会で何かしら情報が出てくると思います。陳情審査も継続となっており、行政に対し質疑が行われるでしょう。

今回のことを踏まえて私のやることは、市政についての周知広報の強化、職員とのコミュニケーション強化です。

説明会以降、思案に暮れましたが、箸にも棒にも掛からぬと思ってそのままにしてはいけない、私が諦めてはいけないと再確認しました。また、もっと早くから自分自身が周知広報をできていたらという反省の念もあります。

この事業についてももちろん追いかけていきますが、この一連の流れを振り返り、同じようなことが起きないようにしていく必要があります。実際、同じようなことになっていると時折感じることがあり、根本的な部分に課題を感じています。

今回も整理と発信に時間がかかり申し訳ないですが、改めて伝えることの難しさと重要性を実感しました。引き続き市政に関心を持っていただけたら幸いです。


参考

議事録より、実際の質疑を紹介します。

前提としてこの委員会というものは、だいたい新人から質問をし、ある程度聞いたら長くなるので次の人へというなんとなく暗黙の了解のもと進んでいくと私は理解しています(武蔵野市議会の全体ではないかもしれないが慣習だと思います)。

そのためまず私から細かいことというよりは大きな視点で質問を始めました。

ここでは他の委員の質疑については触れませんが、私が質問したのは以下の点です。→で市からもらった答えもポイントを書いておきます。

▼今回の対応方針とはどのような位置づけなのか

→この方針に基づいて関係者と協議していくというもの

▼すでに協議をしているのか、実現可能性はどうなのか

→実際に下話はしているが、まだ価格も決まっておらず今後交渉する中で決まっていくものと考えている

▼(ひとつ前の報告事項が吉祥寺のまちづくりがテーマであったことを受けて)この方針は先ほどの件とも関連性があり重要なものという認識、方針に記載がある「売却にあたってまちづくりに資するような活用を求めるといった条件を付す」ということは協議としては大変だと思うが具体的にどのようなものか

→要綱に基づき公益上必要な場合はそうした条件を付すことができ、この地域は環境浄化など抱える課題があるので、テナントの種類や用途に条件を付けるとか、滞留空間を創出して欲しいなど協議していく

▼非常にいい位置かつ種地として取得したことも踏まえると大きな可能性ある場所、いろいろな方々と話し合いをしていかなくてはならない、交渉事なのでいろいろ言い過ぎるとダメになるなどもあると思うが、誰とこれは決めていくことなのか

→窓口はこの担当部署だが、市役所内部でも多岐に渡り関係課があり、また相手方とのバランスもあるのでそれも踏まえて交渉していきたい

▼かなり大きな話だと思う、さらっと出てきたが相手方だけでなくこれらのまちづくりに関わっている方々全般的にいろいろなところでコミュニケーションを取りながら、難しい交渉もする中で丁寧に進めて欲しい(要望として終了)

以上が私の質疑です。言葉は省略しながらまとめましたが、質疑はすべて取り上げました。

そしてこのあと他の4名の議員もさらに質問を行っています。

議事録はこちらにあるので、お時間のある方はぜひ読んでいただければと思います(発言78番からが今回の件です)。