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こんにちは、武蔵野市議会議員の本多夏帆です。

20人の議員による一般質問に始まり、議案12件、陳情10件の審議が行われました。分野の偏りが大きかったため、総務委員会は23時頃までの開催となり、働き方改革と逆行していると言われることも。日程を延ばすのが良いのか、その日と決めて行うのが良いのか、この辺りは全体的に考えると悩ましいところです。以下、定例会をまとめてレポートします。

議案について

新たな条例の制定や工事発注 補正予算などが提案されました

▼今回の議案では、市職員の育児や介護休業についての制度が拡充されたり、もう使われていない農地保全制度が廃止されるといったこともありました。昨今ニュースでも話題となった、設置する検討委員会が「附属機関」かどうか、附属機関にあたるなら要綱ではなく条例で設置しなければならないというルールに関わるものとして、市有地活用事業者審査委員会設置条例の制定(市有地を活用する事業者を選定するための委員会の設置について)や産業振興条例の改正(産業振興計画を策定するための専門家会議の設置について)についても可決となりました。

▼個人の特定に繋がるとしてプライバシーに配慮しながらの質疑となった、建物明渡請求(市が個人に貸している建物について、契約の条件を満たさない状態になっていることや建物の老朽化などを理由に明け渡しを求めるもの)の訴訟を市が提起することについては、契約としての見方と行政の役割としての見方についての議員がそれぞれの立場に立ち、さまざま議論が行われたと感じています。結果として訴えの提起はされることになりましたが、当事者の暮らしへ引き続いてのサポートを求めるという意見が多く出されました。

▼学校関連においては、一中・五中の解体工事についてや、関前南小の増改築といった、今年もまた大きな工事がスタートすることがここでも確認されました。一中に比べ五中の解体費用が高いのは、地中部分の基礎などの解体が多いからとのこと。仮設校舎の工事もありますがいよいよ校舎棟解体ということもあり、通っている方や近隣の方は普段と違う環境、特に工事車両の通行などにぜひご注意をいただければと思います。

▼補正予算では、コロナ禍での国からの支援金関係(低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金、住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金)やワクチン接種4回目などがありました。給付金については何もしなくても振り込みされる方と、申請により支給決定される方がいるため、周知広報が課題となっています。ご自身が対象かどうか市報などをぜひご確認ください。市の独自事業としては商店会活性出店支援金の延長も提案され、空きテナントの利用促進に繋がるといいなと思います。

陳情について

工事の安全性や市民参加など多岐に渡る内容を審議しました

今回の定例会には10件の陳情が提出され、こちらの議論もさまざまな分野で行われることとなりました。

採択となったのは、

・保健センター増築関連工事における近隣への配慮について求めるもの

・中央公園で行われる石神井川上流第一調節池(仮称)の掘削工事について都へ安全対策を求める意見書提出を望むもの

・吉祥寺本町2丁目の道路陥没事故の原因を公表することを求めるもの

の3つです。

一方で不採択になったのは7件ありますが、そのうち吉祥寺東町1丁目市有地利活用事業(パブコメを凍結し住民の声を聞いて欲しい)についてや、自治基本条例の周知事業(住民訴訟に関係する案件のため周知事業の執行を止めて欲しい)について、ミカレットさかいみなみ移設事業(プレイス前の敷地に移設するトイレの位置や内容について再考して欲しい)については、共通して事業をストップ、遡るような内容がベースとなっていました。

現在進行形で進んでいるものを止める、どこかまで戻るというのは、議会としてもこれまで意思決定をしてきた中で相当に難しいことであると認識しています。市が事業を進める中で、さまざまなところで議会は当然に絡んでおり、そうした意味での布石は打たれているとも思います。

そうしたことからも、事業を止める、遡るということについては相当な根拠が必要です。ケースバイケースではあるものの、例えば法的な問題や重大な瑕疵(欠陥)が発見されたとか、社会情勢の大きな変化、災害の発生といったことが考えられます。

とはいえ、じゃあ陳情で求めることに意味はないかといったらそれは違います。今回の質疑においても、住民への説明を行う、事業の詳細において変更できるところはするといった、前向きな答弁も出ています。ある意味で議員においても、陳情の趣旨を汲み取り、その上でできることはないかという面で答弁を引き出そうとする考えを持っている人が多いと思います。

その意味で、陳情を出すにあたってどのような求めを行うのが良いか、想いに対しどのような表現が的確かといった相談を事前に議員にすることは有効と考えます。提出前に各会派に相談にいらっしゃる方もいます。陳情は書面審査であり、記載されていることが判断の大きな根拠となっていきます。採択・不採択という結論を出すことに価値があると考えるか、質疑の中である意味での実利を取りに行くというスタンスを取るかといったことも、一つの考え方ではないでしょうか。

継続審査となっていた陳情について

前回の定例会から継続となっていた「井の頭公園の緑と環境保全を求める意見書を都に提出して欲しい」と陳情については、意見付き採択(ただ可決するのではなくて意見を付けて可決するもの)という結果になりましたが、会派としてワクワクはたらくはこの意見付き採択には反対しましたのでその理由を説明します。この意見付き採択の内容は、東京都に要望を直接伝えたので意見書は出さないが、陳情の願意は良しとして採択するというものです。
※本件陳情はこちら(市HP)

この陳情は建設委員会において審議されていたもので、陳情が提出されてから建設委員会は直接陳情者と意見交換を行ったり、その後都の担当者とも直接コミュニケーションを取る機会を設けたりするなど、精力的に動かれてきたことは理解をしています。

しかし、そのことをもって「意見書を提出しない」という結論となっており、なぜ意見書を出さないのかという質疑が他の会派からなされました。私たちとしてもその点を疑問に思い、本会議で委員長へ質問をしましたが、都とのやり取りを行ったあと、意見書を提出しないことについて陳情者の了承を得たものではないということが分かったため、意見付き採択に反対することにしました。

他の会派の質疑では、意見書の提出は地方自治法に基づく大変重要なものであるとされており、意見書の提出を求める陳情において意見書を提出しないというのはどうか、確かに疑問に思います。意見付き採択の提案というのは委員会の委員全員の賛成がないとできないため、今回この意見付き採択に反対したのは建設委員会にメンバーがいない会派となりました。引き続き都の事業において、井の頭公園の緑が保全されるよう求め、進捗を注視していく必要があります。

今後もこのように、1件1件丁寧に考察、議論していきたいと思います。

関連リンク

・本多夏帆の一般質問内容はこちら
・議員全体の一般質問からのピックアップテーマはこちら
・総務委員会での本多メモはこちら
・定例会中継録画はこちら(市HP)
・議案や陳情の内容はこちら(市HP)