BLOG

ブログ

こんにちは、武蔵野市議会議員の本多夏帆です。

武蔵野市議会では、毎年10月に常任委員会(総務・文教・厚生・建設)それぞれが他自治体を視察に行くという恒例イベントがあります。

この2年はコロナ禍で中止でしたが、今年は受け入れ先も無事に見つかり、視察に行けることになりました。当選して初めての視察以来、2度目の委員会視察に参加することができましたので、そのレポートです。

視察先はどうやって決まるの?

年度や委員会ごとにまちまちだとは思いますが、基本的にはまず委員会メンバーに希望のテーマなどが図られ、それに議会事務局がさまざま工夫しつつ視察先へ依頼、旅程を組んでいくことになります。

今年私が所属する総務委員会は他の委員会よりも所掌分野がかなり広いため、どのような内容になるかなぁと思いつつ、ほとんど事務局任せにはなってしまいましたが、何度も断られながらも事務局の皆さんが視察先との調整をしてくださいました。

旅程が決まり、事前に質問事項を送付して、いざ出発です。

今回の視察の中身

2泊3日の旅程の中で、4つの自治体を伺うことができました。

①芦屋市:芦屋リジューム事業(主に女性活躍)について
②西宮市:危機管理センター・防災事業について
③堺市:さかいSDGsプラットフォームについて
④尼崎市:あまラブ指数などを活用したシティプロモーションについて

宿泊は甲子園・大阪梅田でした。過去の例として2日目にまた新幹線移動などある広範囲な視察工程もあるので、今回はまとまったエリアでの視察で、無理のない旅程に感謝です。

それでは1つずつ内容と気づきを書いていきたいと思います。

①芦屋市:芦屋リジューム事業(主に女性活躍)について

まずは女性活躍をテーマとした芦屋市の芦屋リジューム事業について。リジュームは再生・リスタートの意味。

女性が活躍するまち芦屋を目指し、『ASHIYARESUME(アシヤリジューム)』事業を実施しています。
『ASHIYARESUME』事業は、第1歩を踏み出したいと考えている女性を対象に、ライフスタイルの見直し、キャリアの棚卸、多様な働き方の提案などから、自分らしい生き方や働き方に向けた支援や就労や起業に向けたスキルアップのための支援などを行ないます。

芦屋市ホームページ

さまざまなイベント、講座などを行っていて、まさに私の行っていることとも繋がりがあり、食い気味にお話を伺いました。

特徴的と感じたのは、女性活躍と男女共同参画は切り分け、また具体的な創業支援フェーズも切り分け、とにかく一番最初の一歩を踏み出すためのきっかけづくりにとことん焦点を当てた事業だという点。

働き方や生き方を知る、そのためのサロンやマルシェ、施設見学、ミーティングなどを開催されているとのことです。コロナ禍はもちろんオンライン活用にて。

女性向けというのが押し出されることに敏感な私としては、女性以外からの反応はどうかといったことや、男性育休などの施策との絡みなども伺いましたが、その辺りは他の市の事業で整えている印象。

上記の通りこの事業はあらゆる角度から女性のきっかけづくりに集中していて、その統一感のようなものが事業効果に表れていると感じました。

1社が継続して事業を行っているとのことだったので、この部分が固定化せずに多様な事業者が主体になり市と協働していくことが今後の課題ではないかとも思いました。

◆芦屋市ホームページはこちら

②西宮市:危機管理センター・防災事業について

西宮市では、市役所の第二庁舎として2年前に建てられたばかりの危機管理センターを見学し、その他防災情報システムの中身なども見せていただきました。

阪神淡路大震災の経験を振り返り、あの時はやはり市庁舎が大破して使うことができず、災害時にもきちんと活用ができる拠点が求められていたとのこと。

市内に点在する公共施設の統合や移設などを総合的に勘案して、市役所の目の前、元は教育委員会の施設だったところに今回のセンターが出来上がったとのことです。

整備の目的
○庁舎機能の集約化
老朽化や耐震性に課題を抱え、かつ本庁舎周辺に点在している庁舎機能を集約するとともに、各部門の効率的な再配置を行うことで、日常の市役所の業務効率化と連携強化を図ります。

○危機管理体制の強化
近年、頻発している地震や台風・豪雨などの自然災害をはじめ、様々な危機事案に対応する、防災・危機管理の中枢拠点となります。これまでは、災害発生後に中心的な役割を果たす対策本部機能や消防本部機能が複数の庁舎に分散していましたが、同庁舎の整備により庁舎を集約することで連携して迅速な対応することができます。

西宮市ホームページ

屋上にはヘリポートがあり、救急対応なども行われるとのこと。免震構造や発電施設なども見せていただきました。

運用はまだまだこれからというところで、実際に稼働することがないのが一番ではありますが、大きな施設ということでメンテナンスなども大変そうです。

地理的に山も河川も海もあるということで、武蔵野市とはまた全然違う課題が多くあるのだなという印象。最近は県や自衛隊、警察などと合同で大規模な訓練などもされたそうで、報道に取り上げられた様子をビデオで拝聴しました。

また、ハードだけではなくシステムについても大変興味深く、防災情報システムから市ホームページ、SNS、防災ポータルサイトへと一気に広報ができること、避難所開設時は現地で職員がタブレットから発信ができるなど、システム活用もとても充実していました。

何よりUIが魅力的で、簡単な操作画面、仕組みになっていて、有事の際もスピーディーに対応できそうな印象。

課題としてはやはりアクセス集中がどれくらい影響するか実際把握するのが難しいことや、個人情報の関係で要配慮者リストなどは別システムになっており直接的にはまだ連携ができていないこと、災害時のメディア対応などに触れられていました。

過去の経験からの本気度が伝わってくる内容で、近年の災害についての変化などを踏まえた非常に先進的な取り組みと感じました。

◆西宮市危機管理センターの整備についてはこちら
◆西宮市防災ポータルはこちら

③堺市:さかいSDGs推進プラットフォームについて

堺市では、さかいSDGs推進プラットフォームについてたくさんの事例を紹介いただきました。

市長の強い想いで行われている事業とのことで、市長公室という市長直下の組織にて事業を行うことで、全庁的に取り組みが繋がっている様子が伝わってきました。

 SDGs未来都市とは、SDGsの理念に沿った基本的・統合的取組を推進しようとする都市・地域の中から、特に、経済・社会・環境の三側面における新しい価値創出を通して持続可能な開発を実現するポテンシャルが高い地域として、国から選定されるものです。

 堺市は、平成30年(2018年)6月、SDGs未来都市に大阪府内の自治体で初めて選定されました。

堺市ホームページ

堺市では、企業・団体・地域の人たちと連携し、SDGs達成に向けた取組を推進するため、さかいSDGs推進プラットフォームを開設しました。

堺市ホームページ

実はホームページにはそれほどプラットフォームにおける事例が載っていなかったので、これからなのかなと思っていたのですが、1年半で数十件のプロジェクトがこのプラットフォームにおける出会いの中ですでに実現していることが分かり、市のサイトということで掲載量を絞っているとのことでした。

プラットフォームでは企業や団体、学校といったところが会員となり、市はマッチングを主に担っているようです。また、全庁的に課題や要望が出てきたときにそれを民間や学校などに繋ぐという、行政と民とのマッチングにも貢献しているよう。

行政の信頼性を活かした立ち位置で、実際の事業は会員同士で行うというのが主流になっており、市としては人件費くらいしかかかっていないそうです。これにはびっくり。

SDGsとは?という時代は終わり、いかに実践をしていくかというフェーズに早くから取り組んでいることで、この実績に繋がっているのだなと思いました。

行政課題というのはたいていの場合SDGsとも関連するので、非常に親和性が高く、そのうえで市民参加もしやすい流れができていることにこの事業の魅力が詰まっています。

◆堺市ホームページはこちら

④尼崎市:あまラブ指数などを活用したシティプロモーションについて

最後は尼崎市のシティプロモーションです。

シティプロモーションの取り組みが3つの賞を受賞ということで、とても期待値高く伺いました。動画にもまとめられているのでぜひ。

「あまがさきを好きな人(=あまらぶな人)があふれるまち」を目指して

「そのまちを好きな人と出会うことが、そのまちを好きな人を増やすことにつながる。」
そんな思いから、本指針は「あまらぶ大作戦」と名付けました。
今後、本市の全部局で、本指針を踏まえ、個々の事業を展開していきます。
まずは職員一人ひとりが、尼崎のプロモーター(尼崎のまちを知り、好きになり、良さを伝えていく人) となること。
そして、尼崎に関わるすべての人や市内で活動する様々な団体とも連携していきながら、取組を進めていきます。

尼崎市ホームページ

なぜこの事業を行うことになったかという点において、尼崎市は過去からネガティブイメージが強いエリアであるというのに驚きました。私はそういう事情をあまり知らなかったのですが、昔から工場地帯として公害が問題になったり、犯罪が多かったりして、関西圏における印象があまり良くなかったとのこと。

その頃のことを今も引きずっていて、テレビ番組などでも「いじり」の対象となっていたのだとか。そういう現実があることにまずびっくりしました。

そうした背景があり、尼崎市を好きな人を増やしたい、好循環を生み出していきたいという想いを持って、シティプロモーションに早くから取り組みだしたとのことです。

印象的だったのは、説明してくださる職員の方が巧みに数字を扱っていたこと。データに基づいて事業を行っていること、進める中での目標設定や振り返りにおいてきちんとデータを取り、それを活用していることが感じられました。

政策評価の手法は多岐に渡りますが、事業の成果を分析し、しっかりと振り返りを行って次に向かうことの意義を改めて感じたところです。

特にこの広報分野については武蔵野市でも現在大きな課題となっていることからも、尼崎市では各課に広報担当を置き、どのように広報をすれば事業効果を高められるかまで考えたうえで事業を進めているといったことは、姿勢としてとても大切なことだと思いました。

◆尼崎市ホームページはこちら

視察のまとめ

以上、簡単ではありますが視察の内容レポートでした。総じて多岐に渡るテーマ、かつ今の武蔵野市にとっても関心度の高い内容が多く、調整していただいた事務局の皆さまに感謝です。

また改めて、臨月前とはいえもうかなりお腹も大きい中で、公務としての責任を果たせるようサポートしていただいた方々に心から感謝いたします。休むという選択肢もあるものの、やはりいち議員として、経験させてもらえることはしたい、学びを市政に活かしたいという想いで取り組んでいます。

当然危険が及んだり、周囲に迷惑をかけたりするような場合は自分の想いだけでなくぐっとこらえなくてはならないこともありますが、今回は健康状態やタイミングも鑑み参加を決断、無事に行って帰ることができ、本当にありがたく思っています。

行く先々でもあたたかいお言葉を頂戴し、ありがとうございました。コロナ禍での視察受け入れということで、さまざまご調整いただきました。もう少し落ち着いてきたらもっともっと外へ出ていきたいなぁと思わされる久々の視察となりました。

画像

堺市役所の展望ロビーにて、ハニワ部長と(古墳のまち!)